階級がその利己心のために回復しがたいまでに失ってしまった権力を、ふたたび取り戻さんとつとめていた。それらの使徒たちが長く使徒的熱誠をもちつづけることは、きわめて稀《まれ》であった。最初のほどは、おそらく彼らの弁舌の天賦に相当する以上の成功が、その主旨のためにかち得られた。彼らの自尊心は得も言えぬ愉快を感じた。つぎには、なおつづけてゆくうちに、成功は減じてき、多少|滑稽《こっけい》ではあるまいかという人知れぬ恐れが生じた。そして、彼らのようにりっぱな趣味と懐疑の念とを有する人間にとっては演じがたい役目だったので、それをやりつづける疲労のために、長い間には右の恐れが増大してきて、それが優勢になりがちだった。彼らは退却するために、風と従者とから退却を許されるのを待ち受けた。なぜなら、彼らは風と従者との捕虜《ほりょ》となっていたから。それら新時代のヴォルテールやジョゼフ・ド・メーストルらは、その言論の大胆さの下に、怖気《おじけ》づいた不安定な心を隠していた。その心はしきりに形勢を探り、若い人々の非難を恐れ、彼らの気に入らんことをつとめ、彼らよりいっそう若い様子をせんとつとめていた。文学によって
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