求めてる文学者――書くことを知ってはいるが何を書くべきかをよく知らない人々、の一隊があった。あたかもアウリスの港におけるギリシャ人のように、凪《な》ぎつくした静穏に封じ込められて、彼らはもう前進することができず、いかなる風にてもあれ帆を孕《はら》ますべき順風を、待ち焦がれているのである。――そのうちには、世に高名な人々、ドレフュース事件のために意外にも文筆の業から離れて、公衆の会合に投げ込まれた人々も、見受けられた。先導者らが得意になったほど、その例に倣《なら》う者があまりに多かった。多数の文学者らが、今では政治を事として、国務を司《つかさど》らんと考えていた。彼らにとってはすべてのことが、団結を作り、宣言を発し、カピトールの殿堂を救うべき、口実となっていた。前衛の知識者らのあとには、後衛の知識者らが控えていた。両方とも同じくらいの価値の人々だった。どちらも他方の者を知識者として取り扱い、また自分をもみずから知識者として取り扱っていた。幸いにも血脈中に民衆の血を数滴所有してる人々は、それを光栄としていた。その中にペンを浸して書いていた。――すべての者が皆有産者で不満をいだいていて、有産
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