黙々たる激昂《げっこう》の悪戦苦闘だった。主の非難に彼女はさいなまれていた。彼女はそれが聞こえないふうをしていた。しかし聞かざるを得なかった[#「ざるを得なかった」に傍点]。そして彼女は口をくいしばり、強情な皺《しわ》を額に寄せ、きびしい眼つきをして、神と激論していた。クリストフのことを考えると憎くなった。魂の牢獄《ろうごく》から自分を一時引き出しておいて、ふたたび牢獄の中に陥らして獄卒の手に委《ゆだ》ねたことを、彼女は彼に許せなかった。彼女はもう眠れなかった。昼となく夜となく、同じ苦しい考えを繰り返した。しかし愚痴をこぼしはしなかった。やはり家の中の万事をつかさどって、頑固《がんこ》に自分の務めを果たしてゆき、自分の意志の執拗《しつよう》強情な性質を日常生活のうちに最後まで保ちつづけて、機械のように規則正しく仕事を片付けた。身体は痩《や》せ細ってきて、内部の疾患に侵されてるかのようだった。ブラウンは親切に気をもんで容態を尋ねた。聴診までもしたがった。が彼女はそれを荒々しくしりぞけた。彼にたいして心の苛責《かしゃく》を感ずれば感ずるほど、ますます彼に冷酷な態度をした。
クリストフはも
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