冬の太陽、褪金色の若い太陽が眠っていた。光ってる矢のように、小鳥が空中を飛んでいた。田舎《いなか》の鐘の物静かな音が、村から村へと呼び合い答え合っていた……。クリストフはアンナの近くにすわって、その姿をうちながめた。彼女は彼のことを頭においていなかった。その美しい口は黙って笑っていた。クリストフは考えていた。

 ――これはまさしくあなたですか。もう私にはあなたがわかりません。
 ――私にも、私にもそんな気がします。私は別な人間になったようです。私はもう恐《こわ》くありません、もう彼[#「彼」に傍点]が恐くはありません……。ああ私は彼[#「彼」に傍点]からどんなに息をふさがれてたことでしょう。彼[#「彼」に傍点]からどんなに苦しめられたことでしょう? 私は柩《ひつぎ》の中に釘《くぎ》付けにされてたような気がします……。今ようやく私は息がつけます。この身体は、この心は、私のものです。自分の身体。自由な自分の身体。自由な自分の心。自分の力、自分の美、自分の喜び。そして私は、今までそれを知りませんでした、自分自身を知りませんでした! あなたはいったい私をどうなすったのですか……。

 そうい
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