な生活においては問題とすべきものではなく、むしろ悪いこととして遠ざくるべきものである、というように彼女には思われた。しかし彼女はブラウンの温情の価値を知っていた。怪しい素性にもかかわらず結婚してもらったことを、それと様子には示さなかったが心に感謝していた。そのうえ彼女は、夫婦生活の体面に関する強い感情をもっていた。結婚して七年にもなるのに、彼らの結合は何からも乱されはしなかった。彼らは相並んで生活し、少しもたがいに理解せず、しかもそんなことに少しも気をもまなかった。世間の眼から見れば、模範的な世帯の見本だった。彼らはあまり外出しなかった。ブラウンはかなり多くの患家をもっていたが、そこに妻を受けいれさせることができなかった。彼女は人から喜ばれなかった。そして出生の汚点がまだすっかりは消えていなかった。アンナのほうでも、受けいれられるための努力を少しもしなかった。自分の幼年時代を悲しいものとなした他人の軽蔑《けいべつ》にたいして、恨みの念をいだいていた。それから彼女は世間に出て窮屈な思いをしてきて、人に忘られることを悲しみはしなかった。彼女は夫の関係上やむを得ない方面だけ、訪問したり訪問さ
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