外である。世の中の槓桿《てこ》とも言うべき種族の本能以外には、その宇宙的な力以外には、ただ塵埃《じんあい》のごとき情緒が存するばかりである。大多数の人間は、なんらかの熱情に全身をささげるほど十分の活力をもっていない。彼らは用心深い吝嗇《りんしょく》さでおのれを倹約している。万事に少しずつかかわって、何事にも全身を打ちこみはしない。すべて自分のなすことに、すべて自分の苦しむことに、すべて自分の愛することに、すべて自分の憎むことに、無制限に没頭する者こそ、驚異に価する人であり、この世で出会い得るもっとも偉大な人である。熱情こそは天才のごときものであり、一つの奇跡である。ほとんど存在しないと言ってもよい……。

 そういうふうにクリストフは考えていた。がそれについて、人生は恐ろしい否認を彼に投げつけようとしていた。石の中にも火があるように、奇跡は至る所にある。一撃のもとにそれは迸《ほとばし》り出る。吾人は吾人のうちに眠ってる悪魔を夢にも知らないのだ……。

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……予を醒まさざるよう声低く語れよ[#「予を醒まさざるよう声低く語れよ」に傍点]!……
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