た。自分のためにか? しかし彼は死滅の空虚を満たすことのできない芸術の空《むな》しさをあまりに感じていた。ただ彼はときどき激しい羽ばたきをする盲目的な力に支配されたが、その力もやがてくじけて地に墜《お》ちてしまった。彼はあたかも闇の中に唸《うな》る雷雲に似ていた。オリヴィエがいなくなると、もう何にも残っていなかった――何にも。彼はこれまで自分の生活を満たしていたすべてのものにたいして、人類全体を共有してると思っていたあらゆる感情や思想にたいして、憤激したのだった。今となっては、自分はこれまで幻影に玩弄《がんろう》せられていたような気がした。すべて社会的生活は非常な誤解の上に立っていた。その誤解の源は言語にあった……。各思想はたがいに通じ合えるものだと人は思っている。しかし実際においては、言葉の間にしか関係は存しない。人は言葉を口にし言葉に耳を傾ける。そして異なった二つの口から出る言葉に、一語として同じ意味をもってるものはない。それだけならばまだしもであるが、ただの一語として人生にその全き意味をもってるものはない。あらゆる言葉はみな生きられた現実の外にはみ出している。人は愛や憎のことを口
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