物館の補助などに、巨額な継続的な金が、たいていいつも匿名で寄付されていた。どちらも今の時代に見られないほどの偉大さと滑稽《こっけい》さとの混合だった。この世界にとっては、自分以外の世界はまるで存在しないかのようだったし――(とは言え、実際にやってる事業や、広い交渉関係や、息子《むすこ》どもにやらせる長い遠い見学旅行などによって、他の世界のことをよく知ってはいた)――またこの世界にとっては、大なる名声も、他国における高名も、自分でそれを迎え認めるまでは、まったく物の数でなかったのであるが、そういうこの社会自身では、もっとも厳格な規律を守っていた。すべての人が関係し合い監視し合っていた。その結果一つの集団的意識が生じて、それが宗教および道徳上の一律な覆面の下に、個人的差異――それらの剛腹《ごうふく》な個性の間にもっとも強く現われる差異――を覆《おお》いかくしていた。皆の者が宗務を守り信仰していた。一人として疑惑をいだいてる者はなく、または疑惑をいだいてると承認したがる者はなかった。それらの魂は、偏狭な監視に取り巻かれてることを知っており、各自に他人の良心をのぞき込む権利を※[#「りっしんべ
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