もっていて、自己の卓越と自分の町の卓越とを平然と信じ込んで、家居《かきょ》的な孤立を喜んでいた。広くひろがった分枝をもってる古い家柄があった。そして各家庭には身内の者だけの会合日があった。身内以外の者にたいしてはほとんど門戸を閉ざしていた。古来の財産を有してるそれらの強大な家は、自分の富を人に示す必要を少しも感じなかった。どの家もたがいによく知り合っていて、それで十分だった。他人の意見なんかは物の数でなかった。そこで見かける多くの百万長者らは、小有産者めいた服装をし、風味ある文句をそなえた嗄《しわが》れた方言を話し、もっとも勤勉な者さえ休息を欲するほどの年齢になってもなお、生きてる限りは毎日、勤直に役所へ通っていた。彼らの細君らは家政の知識を誇っていた。娘らには少しも嫁入り財産を与えなかった。富者らは昔自分がやってきたとおりの辛《つら》い丁稚《でっち》修業を、そのまま子供たちにやらしていた。日常の生活には厳格な倹約が守られていた。しかしそれらの莫大《ばくだい》な財産はきわめて高尚に使用されて、芸術品の蒐集《しゅうしゅう》や、絵画の陳列や、社会事業などがなされていた。慈善事業の設立や、博
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