彼は支離滅裂な話し方をしていたし、夜はもう更《ふ》けていて、ブラウンは好奇心をそそられながらも眠くてたまらながっていた。ついに――(二時が打った)――クリストフもそれに気づいた。二人は寝室に退く挨拶《あいさつ》をかわした。

 そのときから、クリストフの生活は立て直った。彼は一時の激昂状態の中にとどまってはいなかった。ふたたび自分の悲しみのほうへ心を向けた。しかしその悲しみは普通のものであって、生きるのを妨げるものではなかった。生き返ること、それが彼には必要だったのだ! 世にもっとも愛してるものを失い、悲しみに悶《もだ》え、自分のうちに死をになってはいたが、それでも彼には、豊富な強暴な生の力があって、それが悲嘆の言葉のうちにも爆発し、眼や口や身振りから輝き出てきた。しかしそういう力の中心には、侵蝕《しんしょく》的な蛆虫《うじむし》が住んでいた。クリストフはときどき絶望の発作にかかった。それは急激な疼痛《とうつう》だった。じっと落ち着いて、読書につとめたり、散歩したりしてるうちに、突然、オリヴィエの微笑が、その懶《ものう》げなやさしい顔が浮かび……心に刃《やいば》を刺される気がして……彼
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