と、音が答え合った……。クリストフは時のたつのを意識しなかった。顔をあげたときには、鐘の音は消え失せ、日は沈んでいた。彼は涙のために心が和らげられていた。精神が洗われたようになっていた。自分のうちに音楽の小さい流れが湧《わ》き出るのに耳を傾け、細い三日月が夕空にすべりゆくのをながめた。家へもどってくる人の足音に我に返った。そして自分の室へ上がってゆき、錠をおろして閉じこもり、音楽の泉が流れ出すままに任した。ブラウンは彼を食事に呼びに来て、扉《とびら》をたたき、開けようとした。クリストフは返辞をしなかった。ブラウンは心配して、扉の鍵穴からのぞいたが、クリストフが書き散らした楽譜の中で机の上に半ば横たわってるのを見て、ようやく安心した。
数時間後に、クリストフは疲れはてて降りてきた。下の広間には、医師のブラウンが書物を読みながら彼を待ち焦がれていた。彼はブラウンを抱擁して、やって来たときからの自分の振る舞いを詫《わ》び、そして聞かれない先から、その数週間の劇的事変を語り始めた。彼がブラウンにそんな話をしたのはこのとき一回きりだった。ブラウンがよく理解したろうとは彼も信じかねた。なぜなら、
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