に見える、夕の明るみを受けた小さな庭の明るい背景の上に、その姿が浮き出していた。彼女は背が高く、まっすぐにつっ立って、彼が口を開くのを待ちながら黙っていた。彼には彼女の眼は見えなかったが、その視線を身に感じた。彼は医師エーリッヒ・ブラウンを尋ね、自分の名前を告げた。それだけの言葉を喉《のど》から発するのもようやくだった。疲れと渇《かわ》きと飢えとにがっかりしていた。女は一言も発しないで奥へはいった。クリストフはそのあとについて、雨戸のしまった室へ通った。暗闇の中で彼女にぶつかった。膝《ひざ》と腹とで黙々たる彼女の身体に擦《す》れ合った。彼女は室から出て、燈火もつけずに彼を置きざりにして扉《とびら》を閉《し》めた。彼は何かを引っくり返しはすまいかと恐れて、なめらかな壁に額を押し当ててもたれながらじっとしていた。耳鳴りがしていた。眼の中には暗闇が躍《おど》り立っていた。
上の階で、椅子《いす》が動かされ、驚きの声が起こり、激しく扉の音がした。重い足音が階段を降りてきた。
「どこにいるんだ?」と覚えのある声が尋ねていた。
室の扉《とびら》はまた開いた。
「どうしたんだ、暗がりに置きざりに
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