するなんて! アンナ! おい、燈火《あかり》を?」
クリストフは弱りはてていて、もう駄目《だめ》になったような気がしていたので、その騒々しくはあるが親しげな声の響きを聞くと、困憊《こんぱい》のうちに安易を覚えた。彼は差し出された両手をとらえた。燈火が来た。二人はたがいに見合わした。ブラウンは背が低かった。黒い荒い無格好な髯《ひげ》が生えてる赤ら顔、眼鏡の奥で笑ってる善良な眼、皺《しわ》の寄ったざらざらした凸凹《でこぼこ》の無表情な広い額、丁寧《ていねい》に頭に撫《な》でつけられてる髪は、低く首筋までもつづいてる筋で二つに分けられていた。まったくの醜男《ぶおとこ》だった。しかしクリストフは、彼をながめ彼の手を握りしめると、ある安らかな気持を覚えた。ブラウンは驚きの情を隠さなかった。
「なんという変わり方だろう! なんという様子だろう!」
「僕はパリーから来た。」とクリストフは言った。「逃げて来たのだ。」
「知ってるよ、知ってるよ。新聞でみると、君は捕《つかま》ったと書いてあった。まあよかった。僕たちは、アンナと僕とは、君のことをたいへん考えていたよ。」
彼は言葉を切らして、クリストフ
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