て彼はみずから知らずに、その友のほうへ逃げて来たのだった……。
初め一時間ばかりの間は、クリストフはまだ争闘の興奮の中にあった。強い調子でたくさん口をきいた。自分の見たことやしたことをごっちゃに語った。自分の勇気を誇っていた。マヌースとカネーもまた、彼の気を紛らすためにしゃべった。がしだいに熱がさめて彼は黙り込んだ。二人の同伴者だけがなおしゃべりつづけた。彼はその午後の暴挙を少しびっくりしていたが、少しも気を落としてはいなかった。彼はドイツから逃げ出したときのことを思い出した。あのときも逃亡者であり、いつも逃亡者だ……。彼は笑い出した。それが彼の運命だったに違いない。パリーを去ることは彼には苦痛でなかった。土地は広い。至る所人間は同じだ。友といっしょでさえあるならば、どこへ行こうとほとんど構わなかった。彼は翌朝友と落ち合うつもりでいた……。
一同はラローシュに着いた。マヌースとカネーは、彼が汽車に乗って出発するのを見るまではそばを離れなかった。クリストフは、自分の降りるべき場所と、旅館の名前と、便りを受け取るべき郵便局とを、繰り返し尋ねた。彼らはさすがに別れぎわになると、悲しげな顔
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