をした。クリストフは快活に彼らの手を握りしめた。
「さあ、そう陰気な顔をしたもうな。」と彼は彼らに叫んだ。「また会えるよ。大したことじゃない。僕たちは明日手紙をあげるよ。」
 汽車は出発した。彼らは彼が遠ざかるのを見送った。
「気の毒だな!」とマヌースは言った。
 彼らはまた自動車に乗った。黙っていた。しばらくしてからカネーはマヌースに言った。
「僕たちは罪なことをしたようだ。」
 マヌースは初めなんとも答えなかったが、やがて言った。
「なあに、死んだ者は死んだ者だ。生きてる者を救わなければいけない。」

 夜になるとともに、クリストフの興奮はまったく鎮《しず》まった。彼は車室の隅に縮こまって、酔いからさめた冷たい心地で考え込んだ。自分の手をながめると、自分のでない血が眼にとまった。彼は嫌悪《けんお》の身震いをした。殺害の光景が浮かんできた。人を殺したことを思い出した。なにゆえに殺したのかはもうわからなかった。彼は争闘のありさまを一々考えてみたが、こんどはまったく別な眼でその争闘を見てるのだった。どうして自分がその中にはいったかもうわからなかった。彼はオリヴィエといっしょに家を出かけた
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