トフをいっそう面白い人物にした。オリヴィエはまだかつて公表機関との交渉に経験がなかった。一度動き出したらもう取り締まることも抑制することもできない恐るべき機械を、自分が動かすようになろうとは考えに入れていなかった。
で彼は、講義に出かける道すがら、グラン[#「グラン」に傍点]・ジュールナル[#「ジュールナル」に傍点]の評論を読むと呆然《ぼうぜん》としてしまった。そんなひどいことを書かれようとは予期していなかった。新聞というものは、あらゆる調査をよせ集めて、書くべき対象を多少ともよく知りつくしてから、初めて筆にのぼすものだと、彼は考えていた。がそれはあまりに世間知らずだった。新聞が一つの新しい光栄者を発見するの労をとる場合には、それはもちろん新聞自身のためであって、発見の名誉を他の新聞から奪わんがためにである。それで、讃《ほ》めるものを少しも理解しなくても構わず、ただ急いでやらなければならない。しかし作家のほうでそれをぐずぐず言う者はめったにない。賞賛されるときにはいつもかなり理解されてるわけだから。
グラン[#「グラン」に傍点]・ジュールナル[#「ジュールナル」に傍点]はまず、クリ
前へ
次へ
全339ページ中9ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ロラン ロマン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング