しながら、事件がいっそう真剣になるの恐れがあるのを見ると、気をもみだした。そして彼はまずジャックリーヌの前でオリヴィエを冷笑し、つぎには、かなり辛辣《しんらつ》にオリヴィエを悪評した。ジャックリーヌは初めそれを笑って、そして言った。
「そんなに悪くおっしゃるものではありませんわ、お父さま。今に私があの人と結婚したがるようになったら、お父《とう》さまはお困りなさるでしょう。」
ランジェー氏は大きな叫び声をたてた。彼女を狂人だとした。がそれこそ彼女をまったく狂人にならせる仕方だった。けっしてオリヴィエとは結婚させないと彼は宣言した。彼女はオリヴィエと結婚すると宣言した。覆《おお》いは裂けた。彼は彼女から無視されてることに気づいた。父親としての利己心から非常に憤慨した。もうオリヴィエにもクリストフにも二度と家へ足を入れさせないと、断然言い放った。ジャックリーヌは激昂《げっこう》した。そしてある朝、オリヴィエはだれか来たので扉《とびら》を開いてみると、令嬢が顔色を変え決心の様子で、飛び込んで来て言った。
「私を引き取ってください。両親は承知しません。でも私はあなたが望みです。私をどうにかして
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