点]にたいする嫌悪《けんお》のふうを装って、差し出されもしないアルタクセルクセスの贈り物を拒んでいた。ある者はクリストフを非難した。ある者はクリストフに憐憫《れんびん》を浴びせかけた。またオリヴィエに責任を負わせる者もあった――(それはオリヴィエの仲間たちだった。)――彼らはオリヴィエの一徹さと皆から遠ざかってるやり方とを、快く思っていなかった――けれどオリヴィエが皆から遠ざかっているのは、実を言えば、彼らを軽蔑《けいべつ》してるからではなくて、むしろ孤独を好むからであった。しかし人は他人から無用視せられることをもっとも許しがたく思うものである。オリヴィエはグラン[#「グラン」に傍点]・ジュールナル[#「ジュールナル」に傍点]の評論から私利をむさぼっているのだと噂《うわさ》する者さえあった。クリストフを弁護してオリヴィエを非難する者もあった。人生にたいして十分の武装をしていない繊弱な夢想的な芸術家――クリストフ――を、広場の市《いち》の喧騒裡《けんそうり》に投げ込んだオリヴィエの心なしにたいして、彼らは心痛の様子を見せていた。クリストフはその喧騒裡に迷い込んでしまうに違いなかった。彼ら
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