、自分に親切を見せてくれる者にたいしては、あまりに人が善《よ》くなりすぎるのだった。オリヴィエは彼を一人で置いとくと心配でならなかった。いつも面会人がやってくるのだった。そしてクリストフはいくら用心しようと誓っても駄目だった。意中を隠すことができなかった。頭に浮かんだことはなんでも話した。婦人記者がやって来て彼の味方だと言うと、彼は自分の情事をも話してしまった。ある者は彼を利用して、某々の悪口を言う種に使った。オリヴィエがもどってきてみると、クリストフは困りきった様子をしていた。
「また馬鹿なことを言ったんだね。」と彼は尋ねた。
「相変わらずだ。」とクリストフはがっかりして言った。
「ほんとにしようがないね。」
「監禁でもされなくちゃ……。だが、誓ってこれでおしまいだよ。」
「そうだ、このつぎまではね……。」
「いやこれっきりだ。」
 その翌日、クリストフは得意げにオリヴィエに言った。
「また一人来たよ。僕は閉《し》め出しを食わしてやった。」
「あまりひどいことをしてはいけないぜ。」とオリヴィエは言った。「彼らにたい心ては用心しなければいけない。『この動物は性質きわめて悪し……』なんだ
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