ことには――彼はその故国にたいして嫌悪《けんお》すべき感情をいだいてるものと推測されていた……。そういうことは、とうてい我慢のできないことだった。
「僕は奴らに手紙を書いてやる。」とクリストフは言った。
オリヴィエはそれをなだめた。
「いや、今書いちゃいけない!」と彼は言った。「君はあまり興奮しすぎてる。明日、頭が休まってから……。」
クリストフは強情を張った。彼は言いたいことがあるときにはもう待っておれなかった。ただ書いた手紙をオリヴィエに見せることだけは約束した。それも無駄《むだ》ではなかった。手紙はひどく修正された。ことに彼がドイツにたいしていだいてるとされてる意見を熱心に訂正した箇所が、はなはだしく修正された。クリストフはその手紙を出しに駆けていった。
「こうしておけばいくらかいいだろう。」と彼はもどって来て言った。「手紙が明日発表されるだろうから。」
オリヴィエは疑わしい様子で頭を撮った。それから、やはりなお気がかりだったので、クリストフの眼をのぞき込みながら言った。
「クリストフ、君は食事中別に不謹慎なことは何も言わなかったろうね。」
「言うものか。」とクリストフは笑
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