いながら言った。
「確かかね。」
「ああ。くよくよするなよ。」
 オリヴィエは少し安心した。しかしクリストフはちっとも安心できなかった。彼はやたらにしゃべり散らしたことを思い出した。あのとき彼は、すぐにいい気になってしまったのだった。ちょっとの間も人々を疑おうとはしなかった。彼らはいかにも打ち解けてるらしかったし、いかにも彼に好意をもってるらしかった。そして実際そうだった。人は自分がいいことをしてやった相手にたいしては、いつも好意を示すものである。それにクリストフはいかにも打ち明けた喜びを見せたので、その喜びの情が彼らにも伝わっていった。彼の温情的な遠慮なさ、元気|溌溂《はつらつ》たる奇抜さ、非常な食欲、喉《のど》も動かさずに酒を飲み込む早さなどは、アルセーヌ・ガマーシュに不快を与えるはずはなかった。ガマーシュもまた食卓の勇者で、無作法で田舎者《いなかもの》で多血質であって、丈夫でない人々を、食うことも飲むこともできない人々を、パリーのいじけた者どもを、軽蔑《けいべつ》しきっていた。彼は食卓で人を判断していた。で彼はクリストフを高く買った。そして即座に、彼のガルガンチュア[#「ガルガン
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