ったのだった。彼女はそうだとは認めないで、神経の疲れのせいだとして、一笑に付し去ろうと思った。しかしその冷笑は涙と同様に不安なものだった。彼女は健気《けなげ》にもまた仕事にかかろうと努めた。けれど手をつけるや否や、そんなばかげた仕事に以前どうして興味をもち得たか、もうわからなくなった。厭《いや》になって仕事を放り出した。彼女は社交的関係にふたたびはいろうと努めた。しかしそれも同じくできなかった。一定の性癖がついていたので、この世では余儀ない平凡な人々や言葉に接する習慣を失っていた。彼女はそれらを笑うべきものだと思った。そういう不幸な経験から、まさしく恋愛ばかりがりっぱなものだと信じたがって、二人きりの孤独な生活にまたはいり込んだ。そして実際しばらくの間は、彼女は以前にもまして愛に駆られてるように見えた。しかしそれは、そうありたいと願ってるからであった。
 オリヴィエは彼女ほど熱情的でなくしかもやさしみの情はいっそう多かったので、それらの不安を感ずることは少なかった。自分では、漠然とした間歇《かんけつ》的なおののきを感ずるばかりだった。そのうえ、日々の仕事や好ましくない職業などの煩いのた
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