音楽的国民だった。彼らはいつも、ドイツの衰微を言明していた。――クリストフはそのために気分を害しはしなかった。彼はその批判を正当だとみずから認めていたので、本気で抗弁することができなかった。しかしフランスの音楽が最上だという説には、かなり驚かされた。実際のところ、過去にそういう形勢はどうも認めがたかった。それでもフランスの音楽家らは、自分らの芸術が遠い昔においてはすてきなものであったと肯定していた。それにまた彼らは、フランスの音楽をさらに光栄あらしむるために、まず前世紀のあらゆるフランスの光栄ある楽匠をあざけった。ただ一人のごくりっぱな純潔な大家だけは例外としていた――がそれもベルギー人だったのである。そういう非難をしてから、彼らはいっそう気兼ねなしに、古代の大家を賞揚したのである。それらの大家は皆世に忘られてしまってる人々で、中には今日までまったく名を知られてない者もあった。フランス大革命から新世界が開けたのだとする、フランスの通俗派とまったく反対に、これらの音楽家らは、フランス大革命を一つの大山脈だと見なして、音楽の黄金時代を、芸術のエルドラードを、振り返ってながめるためには、それ
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