結構だと思わないのを、多くの悲しい醜い事柄を人から示されるのを、苦に病んでいる善良な人々! 彼ら自身こそ利用されているのだ。しかしそうだとは認めたくないのだ。他人のうちに悪を見て取るのが非常に心苦しいものだから、むしろみずから悪の犠牲となる方を好んでいる。少なくとも日に一度は、人からくりかえし説いてもらいたがっている、この最良の国民中ではすべてがいい方に向かっていると、また、

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「……おうフランスよ、汝は永《なが》く最上なるべし……」
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と。それを聞くと善良な人々は安心して、また眠りにつく――そして他の奴らは、また勝手なことをやりだすのだ。……善良なみごとな人々だ! 俺は彼らに心配をかけた。これからもなおさら心配をかけるだろう。彼らに許しを願っておく。……しかしながら、圧制者らに対抗して助けてもらうことを、彼らがたとい欲しないまでも、せめてこれだけは彼らに考えてほしい、彼らと同じように圧制されながら、彼らのような忍従と幻想の力とをもたない者が――またその忍従と幻想の力とによってかえって圧制者
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