つかもしれない。いつもやるとおり、万人から賞賛されてると思い込んだり、自賛したり自卑したり――代わる代わるそんなことをするよりも、その方がやはりいいだろう。流行ででもあるように、その時々の発作に駆られて、俺たちは世界最大の民衆だと叫び、――または、ラテン民族の頽廃《たいはい》は救うべからざるものだと叫び、――あらゆる大思想はフランスから来ると叫び、――または、俺たちはもはやヨーロッパの慰みになるばかりだと叫んで、それがなんの役にたつか。身をかじってる病弊に眼を閉じないこと、民族の生命と名誉とのために戦うという感情から、圧倒されずにかえって激発されること、それが肝要だ。滅亡を欲しないこの民族の身体にはめ込まれてる魂を感じた者は、その悪徳と滑稽《こっけい》な点とを撲滅せんがため――ことにそれらを利用しそれらによって生きんとする奴らを撲滅せんがために、大胆にそれらを抉発《けっぱつ》して構わないのだ、抉発しなければならないのだ。
予 たといフランスを保護せんがためにもせよ、フランスに手を触るるな。お前は善良な人々の心を乱すだろう。
クリストフ 善良な人々――と言えばまあそうだ――人が万事をごく
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