ので、いつも様子ぶったもので、舌たるい言葉で書かれ、香水店の匂《にお》いのする言葉で、気のぬけた温かい甘い異臭のある言葉で書かれていた。その匂いが文学全体の中にこもっていた。クリストフはゲーテと同じように考えた。「婦人には思うまま詩や小説を作らせて構わない。しかし男子は女のようなことを書いてはいけない。そういうことをする男子こそ、俺《おれ》は嫌《きら》いだ。」その中途半端な愛嬌《あいきょう》振り、そのいかがわしい仇《あだ》っぽさ、最もつまらない人物のために好んで費やされるその感傷風、気取りと粗暴とでこね上げられたその文体、それらの野卑な心理学者を、彼は嫌悪《けんお》の情なしには見ることができなかった。
 しかしクリストフは、自分にはよく判断できないことを知っていた。彼は言葉の市場から来る喧騒《けんそう》に耳を聾《ろう》していた。笛の美しい節《ふし》は喧騒の中に消え失《う》せて、聞き取ることができなかった。というのは、快楽を主としたそれらの作品の間にも、底の方に、アッチカのなだらかな丘陵の線が清澄な空に微笑《ほほえ》んでいないでもなかった。――多くの才能と優美、生の楽しみ、文体の美しさ、
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