または、ペルジノや若いラファエルの手に成った、半ば眼を閉じて恋の夢想に微笑んでいる憂わしげな青年にも似寄った思想。しかしクリストフにはそれが少しも見えなかった。精神の諸流を、何物も彼に示してはくれなかった。フランス人自身でも、それを知るのは困難であったろう。そして、彼が確かに見て取り得た唯一のことは、著作の過多という一事だった。あたかも社会的災難とも言えるほどだった。男も女も将校も俳優も紳士も囚人も、すべての者が筆を執ってるかのようだった。まったく一つの流行病だった。
 クリストフは意見をたてるのを一時断念した。シルヴァン・コーンのような案内者についていると、まったく道に迷ってしまうかもしれないような気がした。ドイツにおいてある文学会から得た経験にてらしてみると、どうも自信がもてなかった。書物や雑誌にたいして疑惑があった。それらは多くの閑人《ひまじん》どもの意見だけを代表してるものでないかどうか、あるいはただ作者だけの一人よがりでないかどうか、それがわからなかった。芝居の方がずっと正確に、社会の実情を伝えてくれるのだった。芝居はパリーの日常生活中に、法外な場所を占めていた。それは放縦《
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