た。また、メーテルリンクのやや崇高でやや幼稚な天才の前にも、しばらく足を止めた。世俗的な単調な一つの神秘主義がそれから発散していた。彼ははっと飛びのいて、こんどは太い急湍《きゅうたん》の中に、前から知っていたゾラの泥《どろ》深い浪漫主義《ロマンチズム》の中に、落ち込んでいった。それから出たかと思うと、文学の大|氾濫《はんらん》の中にすっかりおぼれてしまった。
 水に浸ったそれらの平野からは、女の匂い[#「女の匂い」に傍点]が立ちのぼっていた。当時の文学には、女性的男子と女子とがいっぱい群がっていた。――もし女が、いかなる男もかつて完全に見て取り得なかったものを、すなわち女性の魂の奥底を、描写するだけの誠実を有するならば、女が文筆を執ることは結構である。しかしごく少数者のみがそれをなし得るのであって、大多数の女はただ男をひきつけんがためにのみ書いていた。彼女らはその客間におけると同じく、書物の中においても虚言者であった。くだらない化粧に凝り読者と戯れていた。自分のちょっとした不都合を語るべき聴罪師をもたなくなってからは、それを公衆に語っていた。無数の小説が現われた。ほとんどいつも不貞なも
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