それらの作品は、シルヴァン・コーンなどの連中に賛成を求めてはいなかった。それらは彼らを念頭においてはいなかったし、彼らもそれらを念頭においてはいなかった。両方ともたがいに知らなかった。シルヴァン・コーンはかつて、そういう作の噂《うわさ》をクリストフにしたことがなかった。彼は自分や自分の友人らがフランス芸術を代表してるのだと、真面目《まじめ》に思い込んでいたし、自分らが偉人だと認めた者以外には、才能もなく、芸術もなく、フランスもないと、思い込んでいた。クリストフは、フランス文芸の名誉たりフランスの王冠たる詩人らについては、なんらの知るところもなかった。ただ数人の小説家だけが、パレスとアナトール・フランスとの数冊の書が、凡庸《ぼんよう》の潮の上に浮き出して彼の手に達した。しかし彼はまだフランス語に十分慣れていなかったので、後者の博識な皮肉、前者の頭脳的官能主義を、十分味わうことができなかった。それでも、アナトール・フランスの温室の中に萌《も》え出てる橙樹《オレンジ》の鉢植《はちう》え、パレスの魂の墓地にのぞき出てる繊細な水仙花《すいせんか》、それらの前に彼はしばらく足を止めて珍しげにながめ
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