力がつくされたのだ。彼らは自分の家にばかり蟄居《ちっきょ》している。外に出るのをおっくうがっている。それゆえ、彼らの音楽には空気が欠乏している。閉《し》め切った室と長|椅子《いす》との音楽であり、歩くことのない音楽である。野の中で作曲し、坂路をころげ降り、月光や雨の中を大股《おおまた》に歩き、その身振りと叫び声とで家畜の群れを恐れさせる、ベートーヴェンのごときとは、まったく正反対である。パリーの音楽家らには、「ボンの熊《くま》」みたいに、霊感《インスピレーション》の騒々しさによって隣人らの邪魔となる恐れは、少しもなかった。彼らは作曲する時、自分の楽想に弱音器をはめ、また外界の音響が伝わって来るのを、帷幕《とばり》によって防いでいたのだ。
ところでこのスコラ派は、空気を新しくしようと努めたのだった。そして過去にたいして窓を開いていた。しかしただ過去にたいしてばかりだった。言わば中庭の方のを開いたのであって、往来の方のを開いたのではなかった。それでは大した役にはたたなかった。彼らは窓を開いたかと思うとすぐに、風邪《かぜ》にかかりはしないかと恐れてる老婆《ろうば》のように、その鎧戸《よろい
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