んなことは、」とクリストフはうれしがりながらも疑わしげに言った、「証拠にはならない。」
「手きびしいですね。……よろしい……僕も同意しよう、それは証拠にはならないと。それで、ドイツの音楽家らにたいする君の説を、批評するのはよそう。だがいずれにしても、一般のドイツ人、古いドイツ人、ロマンチックの馬鹿者ども、彼らにたいする君の説はほんとうだ。酸敗した思想をいだき、涙|壺《つぼ》のような情緒に浸り、われわれにも賛美させようとして、やたらにくり返すあの古めかしい文句、過去未来を通じて常に存在し[#「過去未来を通じて常に存在し」に傍点]、今日の掟であるがゆえに明日の掟たるべき[#「今日の掟であるがゆえに明日の掟たるべき」に傍点]、かの永久の昨日[#「かの永久の昨日」に傍点]……!」
 彼はシルレルの有名な一節のある句を誦《しょう》した。

[#ここから3字下げ]
……永久《とわ》なる昨日、
そは常に在りき、また常にめぐり来たる……。
[#ここで字下げ終わり]

「彼がまっ先だ!」と彼は暗誦《あんしょう》の途中で言葉を切って言った。
「だれが?」とクリストフは尋ねた。
「これを書いた旧弊家さ。」

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