滑稽《こっけい》な点をうかがってるその意地悪な眼つきに会って、被害者らも気づかずにはいられなかった。彼女は猿のような本能に駆られて、みずからなんの考えもなしに、人々の悲喜こもごもなしかめ顔を唇《くちびる》や鼻で真似《まね》ることさえあった。またはふと耳にした切れ切れの文句や言葉のうち、奇妙な音調だと思われるものがあると、頬《ほお》をふくらましてそれをくり返した。彼は彼女のそういう無作法を少しも迷惑とせずに、快く笑っていた。なぜなら、彼も彼女と同じくらい無遠慮に振舞っていたから。幸いにも、もはや彼の評判は失墜しても大して惜しいものではなかった。そういうふうな散歩はすっかり評判を落としてしまうものではあるが。
二人は大会堂を見物に行った。コリーヌは高い踵《かかと》の靴《くつ》をはきたいへんな長衣を着ていたが、それにもかかわらず鐘楼の頂まで上りたがった。長衣の裾《すそ》は階段に引きずって、その角《かど》に引っかかった。彼女は平気だった。裂けるのも構わず衣を引っ張り、元気に裾を引きあげて上りつづけた。も少しで鐘を鳴らそうとまでした。塔の上でヴィクトル・ユーゴーの詩を朗吟した。彼にはその意味が
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