、一人で笑っていた。ついに足音が近づいてき、扉《とびら》がさっと開かれ、そしてオフェリアが現われた。
彼女はちゃんとした服装をしてはいなかった。化粧着を身体にまきつけ、広い袖《そで》の中に腕を露《あら》わにし、髪はよく梳《くしけず》ってなく、巻き毛が眼や頬《ほお》にたれ下がっていた。その美しい褐色の眼は笑い、口も笑い、頬も笑い、かわいらしい小窪《こくぼ》が頤《あご》のまん中に笑っていた。彼女は荘重な歌うような美しい声で、そんな姿で出て来たことをちょっと詫《わ》びてみた。しかし、別に詫びるわけはないことを、かえって感謝されていいことを、よく知っていた。彼女は彼を、訪問にやって来た新聞記者だと思っていた。そして、ただ自分一個の考えで来たのだと言われ、彼女を賛美してるからだと言われると、失望するどころか、非常に歓《よろこ》んだ。彼女は愛嬌《あいきょう》のいい善良な娘で、人に喜ばれるのが大好きで、またそれを隠そうともしなかった。クリストフの訪問と心酔とに、彼女はうれしくなった。――(彼女はまだ、世辞追従に毒されてはいなかった。)――彼女はその動作においても、作法においても、小さな虚栄心におい
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