ても、また人に好かれる時に感ずる無邪気な喜びにおいても、少しの不自然さもなかったので、クリストフは一瞬間も窮屈を感じなかった。二人はすぐに古い友だちのような間になった。彼は拙《まず》いフランス語を少し話し、彼女は変なドイツ語をわずか話した。一時間もたつと、どんな内密な話でももち出した。彼女は少しも彼を帰らせようとは思わなかった。この強健で快活で怜悧《れいり》で感情を隠さない南欧の女は、愚かな仲間たちにとりまかれ、言葉を知らない他国にあって、生来の喜びをも覚ゆることなく、退屈でたまらなかったので、話し相手を見出したのがうれしかった。クリストフの方では、誠実に乏しいいじけた小市民らのまん中で、平民的元気に満ちた南欧の自由な女に出会ったことは、言い知れぬ幸福であった。彼はまだ、それら南欧人の不自然な性質を知らなかった。彼らはドイツ人と違って、その心の中にもってるもの全部を相手に示す――またしばしば、もっていないものをも相手に示すことがある。しかしとにかく、この女優は年が若かった、溌剌《はつらつ》としていた、思ってることを、腹蔵なく露骨に言ってのけた。清新な見方で、すべてを自由に批判した。雲霧
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