のした陶器のような皮膚は、夕日に赤く染まって、一日の名残りの光を吸い込んでるかと思われた。
その娘がクリストフを魅惑した。彼は※[#「木+無」、第3水準1−86−12]《ぶな》の木によりかかって、彼女が林の縁の方へやって来るのをながめていた。彼女は彼を気にかけていなかった。ちょっと彼女は無頓着《むとんじゃく》な眼つきを上げた。日に焼けた顔の中のきつい青い眼を彼は見た。彼女は彼のすぐそばを通りかかった。そして草を拾うためにかがんだ時、半ば開いたシャツの襟《えり》から、頸筋と背筋との金色のむく毛が彼の眼にとまった。彼のうちにみなぎっていた暗い欲望が一時に破裂した。彼は後ろから彼女に飛びつき、その頸と胴とをつかみ、頭を仰向かせ、半ば開いた彼女の口に自分の口を押しつけた。彼はかわききったかさかさの唇《くちびる》に接吻《せっぷん》し、怒って噛《か》みつこうとしてる彼女の歯にぶっつかった。彼の両手はきつい腕や汗にぬれたシャツの上をなで回った。彼女はもがいた。彼はますますきつく抱きしめ、締め殺してしまいたかった。彼女は身をもぎ離し、叫び、唾《つば》を吐き、手で唇を拭《ふ》き、ののしりたてた。彼は手
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