ぼくが喜んで荷《にな》ってやる。ぼくのことを考えてくれ。ぼくを愛してくれ。ぼくは愛してもらいたいんだ。ぼくを生かす熱は君の愛から来るんだ。ああ、ぼくがどんなに震えてるか君が知ってくれたら! ぼくの心の中は冬で、鋭い寒風が吹いている。ぼくは君の魂を抱きしめるのだ。」
「ぼくの考えは君の考えにくちづけしている。」とオットーは返事を書いた。
「ぼくは君の頭を両手に抱きしめている。」とクリストフは答えかえした。「ぼくが唇でしなかったことを、唇でしないだろうことを、ぼくは全身でする。かくも愛してると君を抱擁する。察してくれ。」
オットーは疑うようなふうを装った。
「ぼくが君を愛してるほど、君はぼくを深く愛してるかしら?」
「ああ!」とクリストフは叫んだ、「同じほどなもんか、十倍も、百倍も、千倍もだ! なに、君はそう感じないのか? ぼくはどんなことをしたら君の心を動かせるのか。」
「ぼくたちの友情はなんという美しいものだろう?」とオットーは感嘆した。「歴史のうちにもこれほどの友情があろうか? 夢のようにやさしく麗わしい。ただこれが過ぎ去ることのないように! もし君がぼくを愛しなくなるようなことが
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