あったら!」
「わが愛人よ、なんと君は馬鹿だろう。」とクリストフは答えてやった。「いや許してくれ。しかし君の苦労性な弱気さにぼくは腹がたってくる。ぼくが君を愛しなくなったらなどと、どうして尋ねるんだ! ぼくにとっては、生きることがすなわち君を愛することなんだ。いや死でさえもぼくの愛をどうすることもできない。もし君自身、ぼくの愛を壊《こわ》そうと思っても、どうにもできまい。君がぼくを裏切っても、ぼくの心を引裂いても、ぼくは君から鼓吹されるこの愛について、君を祝福しながら死んでゆくだろう。だからもうこれ限り、そんな弱々しい不安の念でみずから心配しまたぼくを苦しめることを、どうかやめてくれ!」
 しかし一週間もたつと、彼の方からこんなことを書き送った。
「もうまる三日、君の口から出るなんらの言葉にも接しないでいる。ぼくはぞっとする。君はぼくのことを忘れてるんじゃないかしら? そう思うと全身の血が冷えきってしまう。……そうだ、それに違いない。先日もぼくは、ぼくにたいする君の冷淡さに気づいた。君はもうぼくを愛しないんだ! ぼくから離れようと考えてるんだ!……いいか、もし君がぼくを忘れたら、もしぼ
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