のか。」と彼はちょっとたって言った。「だが仕方はない。そうしたものだ。逆らってはいけない。」
クリストフは反抗的に頭を振った。
「逆らってはいけないのだ。」とゴットフリートはくり返した。「天できめられたことだ。その思召《おぼしめし》を大事にしなければいけない。」
「僕は大|嫌《きら》いだ!」とクリストフは憎々しげに叫んで、天に拳《こぶし》をさし向けた。
ゴットフリートは狼狽《ろうばい》して、彼を黙らした。クリストフ自身も、今自分の言ったことが恐ろしくなって、ゴットフリートといっしょに祈り始めた。しかし彼の心は沸きたっていた。そして卑下と忍従との言葉をくり返しながらも、一方心の底にあるものは、呪《のろ》うべき事柄とそれを創《つく》り出した恐るべき「者」とにたいする、嫌悪と激しい反抗との感情のみであった。
新しく掘り返されて、底にはあわれなジャン・ミシェル老人が放置されてる土の上を、昼は過ぎ去り、雨夜は過ぎてゆく。その当座メルキオルは、いたく嘆き叫びすすり泣いた。しかし一週間も過ぎないうちに、彼の心からの大笑いをクリストフは耳にした。故人の名前を面前で言われると、彼の顔は伸びて悲し
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