いっしょにおられるよ。」
 しかしそれはクリストフが尋ねてることではなかった。
「いいえ、それじゃないよ。どこにいるのさ、あの人[#「あの人」に傍点]は?」
(肉体の意味であった。)
 彼は震え声でつづけて言った。
「あの人[#「あの人」に傍点]はまだ家の中にいるの?」
「けさあの人を葬ったよ。」とゴットフリートは言った。「鐘の音を聞かなかったかい?」
 クリストフは安堵《あんど》した。が次に、あの大事な祖父にもう二度と会えないかと考えると、また切なげに涙を流した。
「かわいそうに!」とゴットフリートはくり返して言いながら、憐れ深く子供を眺めた。
 クリストフはゴットフリートが慰めてくれるのを待っていた。しかしゴットフリートは無駄だと知って慰めようともしなかった。
「叔父《おじ》さん、」と子供は尋ねた、「叔父さんは、あれが恐《こわ》くはないのかい?」
(彼はどんなにか、ゴットフリートが恐がらないことを望んでいたろう、そしてその秘訣を教えてもらいたかったことだろう!)
 しかしゴットフリートは気がかりな様子になった。
「しッ!」……と彼は声を変えて言った。
「どうして恐くないことがあるも
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