リッヒ夫人は言いながら、真面目《まじめ》な様子になって、彼をすっかり惑乱さしてしまった。「私は決してそうだとは信じられませんでした、クリストフさん。私はあなたを真面目な人だと思っていました。あなたをすっかり信用していました。それをよいことにして私の娘を引きくずそうとなさろうとは、考えもしませんでした。娘はあなたの保護のもとにありました。あなたは、娘に敬意をもち、私に敬意をもち、あなた自身にたいしても敬意をもたれるはずだったのです。」
 その調子には軽い皮肉が交じっていた――ケリッヒ夫人はその子供たちの愛を少しも重大には考えていなかったのである――しかしクリストフはその皮肉を感じなかった。そして何事をも悲痛に解していたように、彼女の非難をも悲痛に解して、心を刺された。
「でも奥さん……でも奥さん……(彼は眼に涙を浮かべて口ごもった)……私はあなたの信用につけこんだのではありません。……どうかそんなことは考えないでください。……私は不正直な者ではありません、誓います。……私はミンナさんを愛しています、心から愛しています。ええ、結婚したいんです。」
 ケリッヒ夫人は微笑《ほほえ》んだ。
「い
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