く早朝から出かけて、ケリッヒ家のまわりを彷徨《さまよ》った。できるだけ早く中にはいって行った。まず眼についたのは、ミンナではなくて、ケリッヒ夫人であった。活動的で早起きの彼女は、ヴェランダの下の植木|鉢《ばち》に水差で水をやっていた。クリストフの姿を見つけると、嘲《あざけ》り気味の叫びをあげた。
「あら、」と彼女は言った、「あなたでしたか!……ちょうどいい時でした、あなたにお話したいことがあります。待ってください、待ってください……。」
彼女はちょっと家の中にはいり、水差を置いて手を拭《ふ》き、またやって来て、不幸の迫ってるのを感じてるクリストフの狼狽《ろうばい》した顔を見ながら、ちょっと微笑を浮かべた。
「庭へまいりましょう、」と彼女は言った、「あちらの方が静かですから。」
自分の愛に満ちている庭の中へと、彼はケリッヒ夫人の後について行った。彼女は少年の当惑を面白がりながら、なかなか急には話そうとしなかった。
「あすこへすわりましょう。」とついに彼女は言った。
出発の前日ミンナが彼に唇を差出したあの腰掛の上に、二人はすわった。
「なんの話だかあなたにはおわかりでしょうね。」とケ
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