ぜならその後では、現実の繋鎖《けいさ》がいっそう重く感じられてくるから。
 クリストフは製作に従事してる間、ミンナがいないことをほとんど思う暇《ひま》もなかった。彼は彼女といっしょに生きていた。ミンナはもはやミンナの中にはなく、すっかり彼のうちにあった。しかし仕事を終えてしまうと、彼はまた孤独を感じ、前よりもいっそうの孤独を感じ、いっそうがっかりしていた。ミンナに手紙を書いたのは二週間前であること、彼女からは返事も来なかったこと、などが思い出された。
 彼はふたたび手紙を書いた。そしてこんどは最初の手紙に強《し》いて守ったような遠慮を、どうしてもすっかり守ることができなかった。彼を忘れてしまったことを、冗談の調子で――なぜなら自分でもそれを信じていなかったから――ミンナに責めた。彼女の無精をからかって、やさしい揶揄《やゆ》をしてみた。非常にもったいぶって自分の仕事のことをほのめかした。彼女の好奇心を刺激したかったし、また、もどって来たらふいに喜ばしてやりたかったのである。買い求めた帽子のことを細かに述べた。その小さな専制者の命令に服従するために――彼は彼女の言うことをそっくり文字どおり
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