次の曲たるラルゲットのために書かれたものであった。そこでクリストフは、熱烈素純な少女の魂を描いた。それはミンナの肖《すがた》であったし、また肖であるべきだった。だれも彼女の面影をそこに認めなかったかもしれないし、彼女自身も認めなかったかもしれないが、しかしたいせつなことは、彼がそれを完全に認めてることだった。恋人の一身をすっかりわが物にしたということを空想|裡《り》に感じて、彼は喜びの戦慄《せんりつ》を覚えた。どんな仕事も、これほどたやすくまた嬉《うれ》しいものはなかった。恋人の不在のために心にたまってる愛情を、一挙に放散させることであった。そしてまた同時に、芸術的製作への専心と、情熱を美しい明らかな形式のうちに統御し集注するための必要な努力とは、精神の健康と全能力の平衡とを彼に与えて、肉体的快感をも彼のうちによび起こした。あらゆる芸術家が知っている最上の享楽である。創作してる間、芸術家は欲望と苦悩との軛《くびき》を脱して、かえってその主人となる。彼を喜ばせるすべてのもの、彼を苦しませるすべてのもの、それらも皆自分の意志のままになるがように思われる。しかしそれも束《つか》の間である。な
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