まんなかが小高くなっていた。二人はその坂を上っていった。湿った地面に足が滑《すべ》った。雨に濡れた木の枝が二人の頭の上で揺れた。頂上に着きかけると、彼女は立止まって息をついた。
「待ってちょうだい……待ってちょうだい……。」と彼女は息切れを鎮《しず》めようとしながら低く言った。
 彼は彼女を眺めた。彼女は他の方を向いていた。半ば口を開いて息をはずませながら、微笑《ほほえ》んでいた。その手はクリストフの手の中にひきつっていた。彼らは握りしめた掌《てのひら》とうち震う指とに、血が脈打つのを感じた。あたりはひっそりとしていた。木々の金緑の若芽が、日の光に顫《ふる》えていた。小さな雫《しずく》が、銀の音色をして木の葉から滴《したた》っていた。そして空には、燕《つばめ》の鋭い声が過ぎていった。
 彼女は彼の方へふり向いた。一|閃《せん》の光だった。彼女は彼の首に飛びつき、彼は彼女の腕の中に身を投じた。
「ミンナ、ミンナ、恋しい……!」
「あなたを愛しててよ、クリストフ、愛しててよ!」
 彼らは濡れた木の腰掛にすわった。恋しさに、甘く深いやたらな恋しさに、しみ通っていた。他のことはすべて消えてしま
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