あくび》をしたり、窓から外を眺めたりした。退屈でくさくさしていた。四時ごろ空が晴れた。二人は庭に飛び出した。高壇《テラース》の手摺《てすり》に肱《ひじ》をついて、河の方へ低くなってる芝生の斜面を眼の下に眺めた。地面は湯気をたてて、生温《なまあたたか》い水蒸気が日向《ひなた》に立ち上っていた。雨の雫《しずく》が草の上に閃《ひらめ》いていた。濡れた地面の匂いと花の香りとが、いっしょに交っていた。彼らのまわりには、金色の蜂《はち》が羽音をたてて飛んでいた。彼らは相並んだまま、たがいに見向きもしなかった。思い切って沈黙を破ることができなかった。一匹の蜂が、雨に重くなってる一房の藤《ふじ》の花にうっかりとまって、ぱっと水を浴びた。二人は一度に笑いだした。するとすぐに、もうたがいに気を悪くしてるのでないことを感じ、仲のいい友だちであることを感じた。けれどもやはり顔を見合わせなかった。
突然、振向きもしないで、彼女は彼の手をとり、そして言った。
「いらっしゃいよ。」
彼女は彼を引っぱりながら、小さな木立の迷宮の方へ駆けていった。両側に黄楊《つげ》の植わってる小径《こみち》が縦横に通じていて、林の
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