ていた。彼は少しもお世辞の言えない性質だったが、讃《ほ》めないわけにはゆかなかった。彼女は嬉しくて顔を赤らめ、感謝に濡《うる》んだ眼付を見せた。彼女は彼のために、化粧に気を配り始めた。美妙な色合のリボンをつけた。クリストフに向かって、微笑《ほほえ》みかけたりなよなよしい眼付をした。クリストフはそれを不愉快に感じ、腹をたて、心の底までむかむかした。今は彼女の方から話しかけようとつとめていた。しかしその会話には少しも子供らしい点がなかった。真面目《まじめ》くさった口をきいて、ちょっと容態《ようだい》ぶった衒学《げんがく》的な調子で詩人の句を引用した。彼はほとんど答えもしなかった。気持が悪かった。今まで知らなかったその新しいミンナに、彼は不思議な気がし、また不安を覚えた。
 彼女はいつも彼の様子を窺《うかが》っていた。彼女は待っていた……何を?……彼女みずからはっきり知っていたろうか?……彼女は彼がふたたびするのを待っていたのである。――が彼はよく注意して避けていた。田舎《いなか》者のような仕業《しわざ》だと思い込んでいた。もう少しもそれを考えていないらしくも思われた。彼女はじれだした。ある
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