はそのうえ追究しなかった。
 それから少し後に、彼はエルンストが盗みをしてる現場を押えた。この小さな曲者は、ルイザが金をしまってる箪笥《たんす》の抽出《ひきだし》の中を捜していたのである。クリストフは彼をひどく突つきまわし、その機に乗じて、胸にあることをすっかり言ってやった。好意を欠いた言葉で、エルンストの悪事の数々を長たらしく並べたてた。エルンストはその訓誡を悪意にとった。クリストフから叱《しか》られる訳はないと傲然《ごうぜん》と答えかえした。そして兄とオットーとの友情を、それとなくほのめかしてやった。クリストフにはわからなかった。しかし争論の中にオットーの名前がもち出されるのを聞いた時、彼はエルンストにその説明を迫った。子供は冷笑した。それから、クリストフが真蒼《まっさお》になって怒るのを見ると、彼は恐《こわ》がって、もう口をきこうともしなかった。クリストフはこういうふうでは何にも聞き出しえないのを覚《さと》った。彼は肩をそびやかしながらそこにすわり、深い軽蔑の様子を見せた。エルンストは気色を損じて、また鉄面皮な言葉を言い出した。彼は兄の心を傷つけてやろうとつとめ、ますます下賤《げ
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