られ、重い罰課に処せられた。
彼は蒼《あお》ざめて、腹だちまぎれにむっつりしながら、家に帰って来た。もう学校へは行かないと、冷然と言い放った。だれもその言葉を気に止めなかった。翌朝、出かける時間だと母から注意されると、もう行かないと言っておいたんだと、落着き払って彼は答えた。ルイザがいくら頼んだり怒鳴ったりおどかしたりしても駄目《だめ》だった。どんなにしても甲斐《かい》がなかった。彼は強情な顔をして、片隅にじっとすわっていた。メルキオルは彼を殴りつけた。彼はわめき声をたてた。しかし懲戒のたびごとにいくら促されても、彼はますます猛りたって「行かない!」と答えるきりだった。理由だけなりとも言うようにと尋ねられても、彼は歯をくいしばって一言もいおうとしなかった。メルキオルは彼をひっつかんで、学校へ連れて行き、教師に引渡した。席につくと彼は、まず手の届くところにある物を皆片っぱしから壊し始めた。インキ壺やペンを壊し、帳面や書物を引裂いた――すべてを、挑戦的な様子で教師を眺めながらおおっぴらでやってのけた。彼は真暗な室に押込まれた。――しばらくたって、教師が覗《のぞ》いてみると、彼はハンケチを
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