た。それについて人から尋ねられると、彼は勿体《もったい》ぶった様子をして、「今にわかるよ」と答えるきりだった。あるいはまた、笑いながら手をこすったり、戯れらしいふうで子供の頭を強くなでたり、彼の尻《しり》をたたいたりした。クリストフはそういうなれなれしさを非常に嫌《きら》った。しかし父が満足してることはわかっていた。そしてその理由はわからなかった。
それから、メルキオルと祖父との間に秘密な相談が行なわれた。そしてある晩クリストフは、クリストフみずから少年の快楽[#「少年の快楽」に傍点]を大公爵レオポルト殿下にささげたということを聞いて、非常に驚いた。メルキオルは、その敬意を嘉納《かのう》せられる思召《おぼしめ》しが大公爵にあるということを、前から匂わしていた。そこで、得意然たるメルキオルは、一刻も猶予《ゆうよ》なく次のことをしなければならないと宣言した。第一、大公爵に公《おおやけ》の申請をすること――第二、作品を発表すること――第三、その作品を聞かせるために音楽会を催すこと。
メルキオルとジャン・ミシェルとは、なお長い相談をし合った。二晩三晩の間、彼らは勢い込んで論じ合った。だれも
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