《ぐろう》することしか考えないで、少しもその様子を示さなかった。その上クリストフはまだあまり小さかったので、善良さの価値が十分にわからなかった。子供の言葉においては、善良と馬鹿とはほとんど同意義語である。叔父《おじ》ゴットフリートはその生きた証拠らしかった。
ある晩、メルキオルが夕食をしに町に出かけた時、ゴットフリートは下の広間に一人残っていたが、ルイザが二人の子供を寝かしてる間に、外に出て、数歩先の河岸に行き、そこにすわった。クリストフはひまだったのでその後について行った。そしていつものとおり、子犬のようにじゃれついて彼をいじめたあげく、ついに息を切らして、彼の足下の草の上に身を転がした。腹這《はらば》いになって顔を芝生《しばふ》に埋めた。息切れが止まると、また何か悪口を言ってやろうと考えた。そして悪口が見つかったので、やはり顔を地面に埋めたまま、笑いこけながらそれを大声に言ってやった。なんの返辞もなかった。その沈黙にびっくりして、彼は頭をあげ、その面白い戯言《ざれごと》をふたたび言ってやろうとした。すると彼の眼はゴットフリートの顔に出会った。その顔は、金色の靄《もや》の中に消えて
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